四国新幹線、実現はいつ? 誘致活動の舞台裏に迫る! 費用は年間920万円「新幹線を誘致する仕事」を解説する
四国新幹線誘致活動は、地域経済の活性化に不可欠な取り組みであり、その推進に携わる業務担当者は、東京大会での決起集会を皮切りに、日々精力的に活動を進めている。新幹線整備の促進を目指し、国、自治体、企業が一体となって取り組むこの課題は、今後の地域交通インフラに大きな影響を与えると考えられる。
四国新幹線の概要と整備効果

四国新幹線は、岡山から高知、徳島から松山までを結ぶ2路線で構成され、全長は302kmに及ぶ。実現すれば、これまで最大3時間半かかっていた四国4県都(松山、高知、高松、徳島)間の移動は1時間以内に短縮され、新大阪へは最大3時間半から1時間半に、東京へはリニア中央新幹線との組み合わせで最大6時間から最速2時間半に短縮される。リニアがなくても、東京~高知間は約3時間55分程度になる見込みだ。
2014(平成26)年の調査によると、総工費は1兆5700億円で、年間の経済波及効果は169億円。費用対効果は1.03と試算されており、北陸新幹線小浜ルートの2倍以上の水準だ。ただし、この試算は2014年当時の物価や社会情勢、国交省の古い評価マニュアルに基づいており、最新の条件を反映した試算が求められる。しかし、四国新幹線整備促進期成会によれば、現時点で新たな調査・試算が行われる予定はないという。
とはいえ、物価高騰の影響もあり、状況はむしろ好転している。与党整備委員長の西田昌司参議院議員は、「こんなに低金利が続いているのに、いつまでも社会的割引率を4%のままで試算しているのは実態に合っていない。1%か0%で試算すべき」と指摘。社会的割引率とは、金利による将来の貨幣価値の減衰を考慮するための指標だ。この発言を受けてか、宮崎県が行った東九州新幹線の費用対効果試算では、従来の4%だけでなく、1%や0%での試算も実施され、その結果、費用対効果は大幅に向上した。
もし、これまでの鉄道新線計画でも社会的割引率を適正に見直していれば、計画倒れにならずに済んだケースは数多いはずだ。四国新幹線についても、今からでも遅くはない。ぜひ再計算を行い、最新のデータに基づく検証を進めるべきだ。