「もう雑魚寝には戻れない」――経常利益129%増、大阪の海運会社が“フェリー”の常識を作り替える新造船戦略
新日本海フェリーが2026年に新造船「はまなす」を就航、2025年の「けやき」と合わせ290億円投資。連結売上634億円・経常利益34億円の規模で進む更新投資と輸送拡大の実像を示す。
新造船投入の連続

新日本海フェリーは舞鶴~小樽航路で新造大型フェリー「はまなす」を2026年6月29日から就航する。船名のはまなすは北海道を代表する花であり、1972(昭和47)年に就航した「フェリーはまなす」以来、四代目として受け継がれてきた名称である。同社は2025年11月にも舞鶴~小樽航路で新造船「けやき」を就航しており、今回のはまなすはその姉妹船にあたる。
船内には三層吹き抜けのエントランスやシースルーエレベーター、二層吹き抜けのフォワードサロンが設けられている。ほかにもコース料理を出すレストランや露天風呂を備える。船室は、海を望む浴室を備えたスイートルーム、専用テラス付きデラックス、シャワーとトイレを備えたステート洋室やステート和洋室などが用意されている。一般のツーリストクラスも、個々の空間を確保した寝台としている。またけやきと同様に、国内フェリーでは初めて採用される省エネ型の船体や、揺れを抑える仕組みを取り入れている。これにより従来船に比べて約5%の省エネが見込まれている。
かつてのフェリーは、船室が大きな雑魚寝の空間という印象が強かった。しかし最近の新造船は、豪華客船に近い要素を取り入れた構成になっている。同社の第58期(2024年4月1日~2025年3月31日)有価証券報告書では、「設備の新設、除却等の計画」に「カーフェリー2隻」の記載があり、投資予定総額は290億円、着手は2023年6月、完了予定は2026年6月とされている。これらは新造船けやき・はまなすに対応する内容と読み取れる。
フェリー会社にとって新造船は経営に大きな影響を与える投資である。ここでは、同社が二隻の新造船を相次いで投入した背景を整理する。