なぜ広島電鉄は「40億円」の投資を拒んだのか? ついに全国交通系ICに対応、地方路線バス会社の希望となりつつあるワケ

キーワード :
, , ,
更新費40億円超の壁に直面する地方交通に、革命が起きている。広島電鉄が主導する日本初のクラウド型決済「モビリーデイズ」は、固定費を劇的に削減し、2026年7月には全国交通系ICにも正式対応。国の補助金方針をも揺るがすこの新技術は、地方路線バスの経営効率化とMaaSの未来を拓く起爆剤となるか。

クラウド型決済の導入背景

広島電鉄(画像:写真AC)
広島電鉄(画像:写真AC)

 交通系ICカードとタッチ対応クレジットカードによる乗車システムの競争が激しくなっている背景には、地方の交通事業者が抱える厳しい経営環境がある。

 キャッシュレス決済の仕組みは定期的な更新が欠かせず、多額の費用がかかる。そのため事業者だけで更新を進めることは難しく、国や自治体の補助金に頼らざるを得ない。この状況が、それまで交通系ICカードが大きな力を持っていた市場に、クレジットカードのタッチ決済が入り込む余地を生んだ。

 この技術の変化で重要なのは、カードや決済機で処理を行う従来の「カードベースドチケッティング(CBT)」方式から、クラウド上で運賃を計算する「アカウントベースドチケッティング(ABT)」方式へ移りつつある点だ。広島電鉄がNECやレシップ(岐阜県本巣市)と共同開発し、2024年7月から導入を始めた「MOBIRY DAYS(モビリーデイズ)」は、日本で初めてABT方式を採用した鉄道・バス向けの乗車券決済システムである。

 車載機器は利用者を識別する番号の読み取りに重点を置き、実際の決済処理はクラウドサーバーとの無線通信で行う。このため、特定メーカーや独自の暗号化技術への依存を減らすことができ、導入や更新にかかる費用の抑制につながる。MOBIRY DAYSは、地方の交通網を維持していくうえで有力な選択肢となる可能性を持っている。

全てのコメントを見る