「翌日配送、もう限界かも」 現場を追い詰める物流崩壊――「翌日」にこだわる人は3割以下、それでも現場は止められないのか?

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物流現場は限界に達した。私たちが当たり前に享受する「翌日配送」は、現場の疲弊の上に成り立つ。速さを守るのか、持続可能な仕組みを選ぶのか。社会を支える物流の未来が、いま岐路に立たされている。

制度未整備 + 技術停滞

全国の20~70代の男女、日常的にECを利用するヘビーユーザー1000人を対象に実施された「EC・通販の発送に関する消費者意識調査」の結果(画像:DMソリューションズ)
全国の20~70代の男女、日常的にECを利用するヘビーユーザー1000人を対象に実施された「EC・通販の発送に関する消費者意識調査」の結果(画像:DMソリューションズ)

 コストを運賃に正しく乗せられず、現場を楽にするための投資も手つかずのままなら、配送の網の目は次々とほつれていくだろう。正社員の不足はさらに加速し、やがて現場を支える人はひとりもいなくなる。

 人手不足による倒産はとどまることなく増え続け、中小の運送会社から先に、モノを運ぶ仕組みがバラバラに壊れていく。

 給料を上げられないことで人は去り、残された現場には、ただひたすらな長時間労働と、届け方の質の低下だけが居座り続けることになる。こうなれば大きな資本を持つ企業だけが細々と配送を保ち、採算が取れない地方や手のかかる小さな荷物は見捨てられていく。

 住む場所によって届く・届かないの差は大きく開き、日本のあちこちで「モノが届かない」という状況がもはや珍しいことではなくなってしまう。

 送料の有料化にネガティブな印象を持っている消費者が72.5%にものぼるという事実も(DMソリューションズ調べ)、大きな壁として立ちふさがる。かかるべき費用を適正に受け取れないまま、企業の体力は底をつく。

 翌日配送という無理を重ねれば事故は増え、さらに人は辞めていく。それは自らの首を絞めるようなものだ。運べば運ぶほど現場が苦しくなる仕組みが変わらなければ、本来は喜ばしいはずの荷物の増加が、皮肉にも会社を押し潰す最後の一撃となってしまうだろう。

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