「走るな」「車道に出ろ」…じゃあ、自転車はどこを走ればいいのか? 30代女性死亡事故があぶり出した道路設計の致命的欠陥とは

キーワード :
, ,
自転車はどこを走れば安全なのか――。滋賀県で発生した死亡事故が浮き彫りにしたのは、制度と現実の危険な乖離だ。車道走行原則を掲げながら、インフラ整備は後手に回る。社会的損失1億円超とされる重大事故が示すのは、今こそ制度より構造に手を入れるべきという警鐘である。

走行空間なき道路設計

道路(画像:写真AC)
道路(画像:写真AC)

 2025年5月26日、滋賀県大津市で30代女性が自転車で走行中に車道へ転倒し、その直後に乗用車にはねられて死亡するという痛ましい事故が発生した。女性は歩道を南向きに走行中だったが、何らかの理由で車道側へ倒れ、接触したとみられている。

 この報道をめぐり、多くの人がSNSやコメント欄を通じて共感と不安を表明している。

「自転車が車道を走るべき」

という交通政策の推進と、現実の道路構造との間に横たわる大きな断絶が、今、深刻な形で可視化されつつある。

全てのコメントを見る