「手積み・手降ろし」を渇望する運送ドライバーが最近増えているワケ あれほど嫌われていたのになぜなのか

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このまま運送ビジネスの純化が進み、「手積み・手降ろし」のない時代が到来した場合、運送会社はどのように他社との差別化を図ればいいのだろうか。逆説的だが、「手積み・手降ろし」は運送会社の武器になるかもしれない。

手荷役を望むトラックドライバー

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

「『今月まだ20回しか手積み・手降ろしをしていません。毎日入れてください』って、ドライバーからいわれるんですよ」

運送会社A社の配車担当者は、苦笑する。

 手積み・手降ろし(以下、手荷役)は、一般的に運送会社からもドライバーからも嫌われている。

 ドライバーからすれば、手荷役は体力的にも時間的にも負担が大きい。運送会社にとっても、ドライバーが手荷役を嫌うことで、配車に慎重になる。フォークリフトによる荷役に比べ、手荷役は時間がかかるため、特に「物流の2024年問題」で残業が厳しく制限される将来においては、売り上げ減少の原因になりかねない。

 手荷役がなければ4件の配送が可能であった会社が、手荷役のために3件、あるいは2件の配送しかできなくなる可能性があるからだ。

 では、A社のドライバーは、なぜ手荷役を望むのか。理由は簡単で、A社はドライバーに手荷役手当を1件につき3000円支給しているからだ。

 A社は2024年問題対策として、すでに時間外労働を制限している。これまで残業で稼いでいたドライバーは、A社では固定給に手荷役手当を上乗せして稼ぐようになった。

 そんな運送会社は近年増えつつある。「手荷役を廃し、フォークリフト等による荷役を行うべし」が時代の流れである。これは岸田内閣が推進する「物流革新」政策にも明記されている。

 しかし、もちろんすべての貨物をフォークリフトで扱えるようにパレット化できるわけではない。荷主の立場からすれば、パレット化することで余計なコストや手間がかかったり、業務プロセスの変更や商品そのものの設計の見直しが必要になったりすることもあるのだ。

 A社の配車担当者は、

「扱う貨物の都合上、手荷役を排除できない荷主も一定数存在します。当社はあえて、手荷役を行っていることを明言して、他社との差別化を図っているわけです。とはいえ、いただくべきもの、つまり手荷役料金はしっかり請求しますが」

と続けた。

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