「翌日配送、もう限界かも」 現場を追い詰める物流崩壊――「翌日」にこだわる人は3割以下、それでも現場は止められないのか?
物流現場は限界に達した。私たちが当たり前に享受する「翌日配送」は、現場の疲弊の上に成り立つ。速さを守るのか、持続可能な仕組みを選ぶのか。社会を支える物流の未来が、いま岐路に立たされている。
供給力が痩せ細る構造

筆者(猫柳蓮、フリーライター)の前稿「「荷物はある、仕事もある。でも会社が潰れる」 運輸業を襲う“黒字倒産”の皮肉――なぜ需要が「重荷」に変わったのか」(2026年2月24日配信)で浮かび上がったのは、供給を支える側の力が削り取られ、組織の屋台骨が根本から揺らいでいる現実だ。
運輸・倉庫業で正社員不足を実感する企業の割合は、2024年65.3%、2025年66.4%、2026年65.8%と6割を超え、高止まりしている。これは一時的な変動ではなく、現場の体力が着実に削られていることを示している。
東京都内の運送業者が語るように、「人手不足により売り上げを伸ばせていないが、人手があれば仕事量は十分にあり、増収を目指せる環境を感じている」という(同調査より)。この「受けない」という判断は、短期的には現場を壊さないための守りになるが、長い目で見れば賃金を上げるための蓄えを奪う。
給与が上がらなければ新しい人は来ず、残った者たちの肩にさらなる重みがのしかかっていく。
他の業界と比べても、その厳しさは際立っている。飲食や宿泊業などが非正社員の不足を大きく立て直した一方で、運輸・倉庫業の改善は2024年の41.4%から2026年の40.2%へと、わずか1.2ポイントに留まった。
荷物を運び、積み下ろすといった体への負担や、免許という壁が、他から人を呼び込むことを難しくしている。現場を支えてきた熟練者は日々の仕事を回すだけで精一杯で、次の世代を育てる余裕などどこにもない。
今の現場は明日へつなぐための力を使い果たし、これまで受け継がれてきた技能が途絶えてしまう瀬戸際にあるのだ。