東南アジア最強のLCC「エアアジア」、なぜ日本で二度敗れたのか? そしてなお日本市場を狙う野望とは

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東南アジア最強のLCC、エアアジアは日本市場で二度の撤退を経験した。しかし親会社キャピタルAは400機以上の発注で拡大を再開。羽田・成田・関空など8空港で日本路線を強化し、インバウンドや北米直行便を狙う戦略が進む。

東南アジア最強のLCC

エアアジアのロゴマーク(画像:エアアジア)
エアアジアのロゴマーク(画像:エアアジア)

 エアアジアは1993年に創業し、1996年に運航を開始したマレーシアの航空会社である。開業当初はマレーシア国内線や近距離国際線を運航する小規模な会社にすぎなかった。しかし2001年、トニー・フェルナンデス氏が買収し、格安航空会社に転身した。

「Now Everyone Can Fly(今や誰でも飛ぶことができる)」をスローガンに掲げ、大手航空会社の数分の一の運賃を実現する戦略を徹底した。低運賃を支えるため、機内食や座席指定を有料化し、予約はオンライン限定とした。機体のあちこちに広告を掲出し、収入源を多角化するなど、手段を選ばずコスト削減策を講じた。

 こうした取り組みにより、エアアジアはこれまで飛行機に乗れなかった層を取り込むことに成功した。マレーシアを代表する航空会社の一角に成長したのである。さらに2004年にはタイに子会社を設立し、以降インドネシア、フィリピン、カンボジアへと拡大を続けた。

 2007年、エアアジアは長距離専門のエアアジアXを設立した。2014年にはタイ・エアアジアXを設立し、タイからも長距離航空を運航している。

 その規模は非常に大きい。2025年9月12日現在の保有機体数は254機に達する。就航都市は東アジア・東南アジア全域に広がり、インドや中東、中央アジアも含めて160以上の都市に及ぶ。共有座席数は2024年9月時点で255万席を超え、マレーシア航空の約120万席の倍以上である。もはや「マレーシアのフラッグキャリアはエアアジア」といえる状況だ。

 タイの子会社タイ・エアアジアも2024年9月で145万席以上を提供し、同国の本来のフラッグキャリアであるタイ国際航空を上回る。フィリピンやインドネシアでは他に強力な格安航空会社(LCC)が存在するため最大シェアではないが、大手の一角を占めることは間違いない。エアアジアグループは、「東南アジア最強のLCC」といえるだろう。

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