大谷翔平はなぜ「チャーター機」に乗るのか? 勝利か環境配慮か──移動の経済合理性を考える
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国際的トップアスリートは、12時間超のフライトでもプライベートジェットを活用する。費用は1回数千万円、環境負荷は商業便の10倍以上だが、疲労回復やパフォーマンス維持のための戦略的投資である。
トップ選手の専用機事情

ワールドベースボールクラシック(WBC)参戦時、大谷翔平は米国からビジネスジェットで飛び、12時間のフライト後に羽田空港に降り立ち、大きな注目を集めた。野球の大物選手に限らず、ゴルフのタイガー・ウッズ、サッカーのリオネル・メッシやネイマール、クリスティアーノ・ロナウドなど、トップアスリートはなぜプライベートジェットやチャータージェットを利用するのか――。
海外との移動では、チャーター機の費用は1回で数千万円に達することもある。経済的余裕が前提となるのはもちろんだ。選手が自腹で支払う場合もあれば、チームやスポンサーが負担する場合もある。
一方で、地球温暖化は日々、私たちが実感する深刻な社会問題である。航空分野が排出する二酸化炭素は全世界の約2%を占め、国際民間航空機関(ICAO)は2050年には現在の2倍~5倍に増えると予測している。プライベートジェットは少人数で利用するため、ひとりあたりの環境負荷は
「商業便の10倍以上」
になることもある。多くの注目を集めるアスリートには、環境問題でよい手本となってほしい。しかし選手にも、それなりの事情があるのも事実である。