「見栄っ張り」「品性に欠ける」 ネットで“残クレアルファード”を叩く人が、壮大なブーメランを食らう根本理由

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ネット上で拡散する「残クレアルファード批判」は根拠薄弱な感情論が多い。購入層の70%以上が合理的なローン戦略を活用し、実際には資産形成にも寄与している事実に注目すべきである。

「残クレ叩き」の構造

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 筆者(伊綾英生、ライター)は先日、当媒体で「「破産する」「ドンキしか行けない」 ネットで“残クレアルファード”を叩く人が、全然幸せそうに見えないワケ」(2025年8月30日配信)を書いた。記事では、ネット上に広がる「残クレでアルファードを買う人は身の丈に合わない」という批判的言説の構造を分析した。配信先の「carview!」には900件以上のコメントが寄せられるほどの反響を得た。

 前回も書いたが、SNSや動画サイトで見られる「残クレアルファード叩き」は、

・フィルターバブル
・エコーチェンバー

によって増幅されている。

 フィルターバブルとは、アルゴリズムやユーザーの行動履歴により、同調的な情報ばかりが表示される現象である。異なる視点や批判的情報は遮断される。SNSや動画サイトで特に顕著だ。例えば、ユーザーが一度「残クレアルファードを笑う動画」を視聴すると、同種のコンテンツばかりが次々に提示される。結果として、偏った情報だけが目に入る環境が自動的に形成される。

 一方、エコーチェンバーとは、同じ意見を持つ人々が集まり、互いの主張を反響させることで信念が強化される現象である。匿名掲示板やSNSで「残クレでアルファードを買うのは身の丈に合わない」といった書き込みが増えると、他の参加者が同調し、批判が自己強化的に拡大する。こうした環境では、異なる意見は排除されやすく、事実の吟味が阻まれる。

 フィルターバブルとエコーチェンバーが組み合わさると、「残クレアルファードは馬鹿げている」という認識が、根拠を欠いたまま社会的事実のように扱われる。情報環境の構造自体が、誤った印象を固定化してしまうのである。

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