タクシーに乗ったらドライバーと話す派?しない派? 「返事くらいして」「そっとしておいて」――あなたはどっち?

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東京ハイヤー・タクシー協会の調査によると、2906人の利用者の34.5%が買い物や臨時利用、男性は通勤が32.9%。静寂と会話の選択は、移動の価値を左右する重要な要素となっている。

タクシー空間の心理境界

タクシー(画像:写真AC)
タクシー(画像:写真AC)

 先日、いつものように仕事の準備をしながらTBSラジオをつけていた。コーヒーの香りがまだ立ち上る部屋で、「タクシードライバーと会話するか、しないか」という何気ないテーマが流れてきた。今日は重たいニュースを聞く気分じゃない、と思っていた矢先だったので、耳にすっと入ってきた。

 タクシーという空間は、日常と非日常の境目にある。玄関を出てバス停に向かうほど生活感はなく、電車のように群衆の流れのなかに放り込まれることもない。ドアが自動で閉まり、あの特有の匂いのするシートに身を預けた瞬間、外の世界とは少し距離ができる。たった数分、あるいは数十分の移動でも、そのあいだ人は妙に素直になったり、逆に口を閉ざしたくなったりする。

 そうしたタクシーの利用目的には、性別や状況による差もある。東京ハイヤー・タクシー協会の「2023年度(第32回)タクシーに関するアンケート調査結果」によると、全体の利用目的(合計2906人)では「買い物・その他臨時的な時」が最も多く34.5%を占め、次いで

・通勤・通学・商用(24.8%)
・通院(17.3%)
・その他(13.2%)
・レジャー(9.9%)

が続く。

 男女別では、男性は通勤・通学・商用(32.9%)が最も多く、女性は買い物・その他臨時的な時(38.4%)がトップで、通院(22.1%)も目立つ。こうした数字からも、タクシーは移動手段にとどまらず、生活や仕事、医療、買い物など、幅広い場面で不可欠な存在であることがわかる。

 だからこそ「話す派」「話さない派」は、性格だけでは割り切れないものがある。むしろ、そのときの心理状態や、その日どんな気分でいたいか、どんな情報を求めているかによって揺れ動く。

 同アンケート調査結果の末尾に記載された「アンケート調査『ご意見・ご提言』に対するコメント」のうち、「ドライバーの態度・接客マナー」のコーナーには、以下のような声が寄せられている。

・タクシー業界は様々に努力しているのがわかる。乗務員の接客態度は極めて良好(60才以上男性)
・疲れている時はそっと運転してくれて元気な時は楽しいおしゃべりができて、月に数回ですがリラックスもできる時間だと思います。いつも安全運転ありがとうございます(40才代女性)
・足が悪いおばと乗った時、ドライバーさんが車を下りて、ドアをあけ、手をそえて、ささえて下さったので助かりました。親切なドライバーさんが増えていますね(60才以上女性)
・行先を伝えても返事すらしないドライバーさんがいる。復唱されたり、行き方を聞かれたりされると安心する。今回のドライバーさんは、とても親切な安心して乗っていられた。とても素敵なドライバーさんだった(50才代女性)
・乗っても言葉がありません。行先を言っても「ハイ」がありません。わかっていますかと不安を感じることが3回に1回はあります。客商売なのですから返事くらいして下さい!(60才以上女性)
・降りるときには挨拶を忘れないでほしい。遠回りをしないでほしい。行き先を言ったら返事をしてほしい(50才代女性)
・こちらが話すのに「はい」とかの返事がない。道が混んでいるかどうか確認しない(60才以上男性)
・たまに丁寧な運転手(言葉遣いなど)さんにあたると下車した時も気持ちが良い(60才以上女性)
・距離時間金額関係なく優しく接客してくださり嬉しく思います。ありがとうございます(30才代女性)
・時々ですが返事もなくブスーとしている運転手が居ますが感じ悪いです(60才以上女性)
・産前産後、よく利用させていただくようになりました。ベビーカーの積み下ろしや、優しいお声がけ等で、子供連れの移動が一瞬でも心が軽くなっています(40才代女性)
・降車の時に「忘れ物はありませんか?」は嬉しい。私は、足が悪いので乗り降りに時間が掛かるのですが、ゆっくりでいいですよと言って下さると安心して動けます(60才以上女性)
・近場でも嫌な顔せず、笑顔でありがたいです(50才代女性)

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