東南アジア最強のLCC「エアアジア」、なぜ日本で二度敗れたのか? そしてなお日本市場を狙う野望とは

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東南アジア最強のLCC、エアアジアは日本市場で二度の撤退を経験した。しかし親会社キャピタルAは400機以上の発注で拡大を再開。羽田・成田・関空など8空港で日本路線を強化し、インバウンドや北米直行便を狙う戦略が進む。

失敗要因1:他者との交渉が苦手な体質

 ではなぜ、東南アジア最強のLCCは日本市場で二度も失敗したのだろうか。原因は複数あるが、第1期・第2期とも共通する大きな要因は、重要な関係者との折り合いがうまくいかなかった点にある。

 第1期は日本市場を熟知したANAとの合弁であった。しかしANAは交渉に慎重で物事をゆっくり進める典型的な日本企業である。エアアジア・ジャパンへの資本参画も、関空拠点のピーチと併用し、「国内線市場を荒らさずにLCCをコントロールする」狙いがあったと関係者は指摘する。

 一方、本国同様に急拡大を狙うエアアジアは、ANA側のスピード感のなさに苛立ちを募らせた。ANAもまた、エアアジアのサービスが日本人に合わないことや、ピーチやANA本体との関係を悪化させてまで急拡大を目指す姿勢に不満を持つようになった。

 両者は歩み寄ることができず、搭乗率低迷も重なり、就航から1年足らずで運航停止に追い込まれた。当時の報道では、エアアジアのトニー・フェルナンデスCEOが初就航記念の記者会見でANA幹部に

「壇上で桃(ピーチ)を食べてもいいか?」

と提案したと伝えられている。エアアジア側が当初からANAに不満を持ち、歩み寄る姿勢がほとんどなかったことがうかがえるエピソードである。

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