「Suica帝国」に宣戦布告? 首都圏11社「クレカ相互利用」連合、今後どうなる? 背後で支える技術力の正体
2026年春、首都圏11社の鉄道がクレジットカードタッチ決済で相互利用を開始する。三井住友カードとOSSが仕組みの中核を担い、ICカードとクレカの競争・協調を通じ都市交通の利便性とデジタル化を一気に加速させる。
タッチ決済相互利用の実現

最先端テクノロジーは、時代を問わず浸透と進化の速度が非常に速い。ライト兄弟が飛行機を飛ばしたのは1903年だが、わずか十年余で軍用機が戦場に投入された。新型機の登場は発明家や航空機設計者の刺激となり、次の新型機を生む高速サイクルが形成されたのだ。
現代の日本でも、同様の現象が「キャッシュレス決済戦争」で見られる。交通系ICカードの進化がクレジットカードのタッチ決済を刺激し、これに対してICカードが巻き返しの動きを見せる。首都圏の公私鉄間におけるタッチ決済乗車の新展開は、まさにこの競争と連動している。私たちが長年期待してきた
「私鉄と公鉄のタッチ決済相互利用」
が、ついに現実となる。
この新たな相互利用は、利用者の利便性を大きく高めると同時に、各鉄道事業者の競争戦略やデータ活用にも新たな局面をもたらす。決済手段の拡張にとどまらず、都市交通のデジタル化を加速させる起点となる可能性が高い。