東南アジア最強のLCC「エアアジア」、なぜ日本で二度敗れたのか? そしてなお日本市場を狙う野望とは
東南アジア最強のLCC、エアアジアは日本市場で二度の撤退を経験した。しかし親会社キャピタルAは400機以上の発注で拡大を再開。羽田・成田・関空など8空港で日本路線を強化し、インバウンドや北米直行便を狙う戦略が進む。
失敗要因4:首都圏の空港事情
エアアジアに限らず、日本のLCC全体に共通する課題として、首都・東京における空港の制約がある。エアアジアの失敗にも影響を与えた可能性は否定できない。
代表的な例が成田空港の「門限」である。第1期の就航時であった2012年、成田空港の運用可能時間は早朝6時から深夜23時までに制限されていた。この時間を1分でも超過すると、緊急時以外の離発着は認められなかった。そのため、朝早く到着する運用は、国内線や韓国・台湾・中国などの近距離路線では難しかった。
その後、2019年にA滑走路のみ深夜0時まで延長された。しかし建設時から続く住民感情の影響もあり、門限は今も撤廃されていない。羽田を拠点にすることも考えられるが、発着枠はほぼ固定で、新規参入は難しい状況である。
東京・大阪の航空事情もあり、マレーシアやタイ同様の急拡大戦略を日本で実行することは困難であった。ただ、横田や厚木、木更津、入間といった首都圏の第三空港を活用すれば、史実以上の展開も可能であったかもしれない。これらの空港でも自衛隊や米軍との共用など制約はあるが、成田や羽田より柔軟な運用ができた可能性はある。
柔軟性に欠ける成田・羽田を補完し、LCCなど新興航空会社を支援する観点からも、第三空港の議論は今後も続くべきである。