東南アジア最強のLCC「エアアジア」、なぜ日本で二度敗れたのか? そしてなお日本市場を狙う野望とは
東南アジア最強のLCC、エアアジアは日本市場で二度の撤退を経験した。しかし親会社キャピタルAは400機以上の発注で拡大を再開。羽田・成田・関空など8空港で日本路線を強化し、インバウンドや北米直行便を狙う戦略が進む。
コロナ禍での破産
日本市場を諦めきれなかったエアアジアは、楽天、ノエビアホールディングス、アルペンなどの出資を受け、2014年に再び日本に進出した。大手航空会社とは全く異なる「エアアジア・ジャパン」として、中部国際空港を拠点に動き出した。
2015年7月21日、国土交通省から航空運送事業の許可が出され、翌2016年の就航を目指して準備を進めた。しかし、就航までの手続きが難航し、初就航までさらに1年を要した。2017年10月、中部~新千歳線に就航。以後、中部~仙台、福岡、台北と就航路線を広げた。
しかし事業拡大は思うように進まず、2020年にコロナ禍が直撃した。同年11月17日、東京地裁に破産を申請。負債総額は217億円と、新型コロナ関連では屈指の大型倒産となった。
所有していた航空機はリース機であり、債権者に分配できる資産は乏しかった。そのため破産手続き費用や債権者への配当も実現できなかった。最終的に2022年4月7日、東京地裁は破産手続きの廃止を決定。航空券購入者への返金は叶わなかった。