ホンダ「アキュラ」再挑戦を問う! 軽依存脱却、低収益体質で「高級EV戦略」は成立するか
ジャパンモビリティショー2025で初公開されたアキュラRSXプロトタイプ。北米で高評価の高級EVが、日本市場で軽自動車依存の収益構造に挑む。投入可否の鍵はブランド構築と販売網整備にある。
“逆輸入ブランド”導入の現実コスト

ジャパンモビリティショー2025で、ホンダは北米で展開する高級車ブランド「アキュラ」の次世代EV「Acura RSX Prototype」を日本で初公開した。2024年に米カリフォルニア州で開催されたモントレーカーウィークで発表された「Acura Performance EV Concept」をベースに開発されたモデルである。量産車は米国オハイオ州メアリズビル工場で生産され、2026年後半に発売される予定だ。
2025年10月29日のプレスカンファレンスで三部敏宏社長は、
「アキュラRSXプロトタイプはカッコいいデザインだが、北米向けのモデルなのでみなさんが欲しいと言えば、国内にも投入を考えたいと思っています。ぜひ感想をお聞かせ下さい」
と述べた。国内市場での需要の反応を確認しつつ、慎重に投入可否を検討する姿勢を示した形である。
ホンダは過去にもアキュラの国内導入を計画した。2005(平成17)年に100店舗規模での展開を発表したが、2008年のリーマンショックにより計画は撤回され、国内導入は実現していない。再挑戦となる今回は、多層的なブランド戦略をどのように構築するかが問われる。
国内導入の課題は多岐にわたる。国内販売に占める軽自動車の比率が高く、利益率が低い構造が続く点は大きい。高級ブランド導入によって収益改善の余地はあるが、国内で高級ブランドを運営した経験がなく、販売網やアフターサービス体制もゼロから構築する必要がある。
さらに電動化・ソフトウェア化が進むなかで、グローバル規模でのブランド再編が進行しており、国内に新ブランドを導入する負荷は大きい。開発費、販売網整備、アフターサービス構築にかかる追加投資は決して小さくなく、現状の収益体質で賄えるかが問われる段階にある。