首都高にひっそり佇む昭和レトロ空間――「東京シティエアターミナル」をご存じか

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首都高速箱崎ジャンクションの中央に位置するT-CATは、開業50年近くを迎える都市型空港バスターミナルだ。かつて空港直結のチェックイン機能で年間数十万人のビジネス客に支持されたが、老朽化と機能縮小で利用は減少。リニューアルや立地優位性で再生の可能性を探る現状に迫る。

東京東部の交通拠点

東京シティエアターミナル(画像:宮田直太郎)
東京シティエアターミナル(画像:宮田直太郎)

 日本IBMをはじめ、オフィスビルやホテルが立ち並ぶ日本橋箱崎町。首都高速6号向島線と9号深川線を直結する箱崎ジャンクションと、その出入り口付近にある箱崎ロータリーは、東京都心東部の交通の要所として知られる。箱崎ロータリーの中央には、レトロな建物である「東京シティエアターミナル」(T-CAT)がある。

 T-CATは羽田空港・成田空港行きリムジンバスのターミナルで、高速道路に直結する専用路を持つ点で他のバスターミナルとは一線を画す。

 T-CATの歴史は1968(昭和43)年11月に提出された「日本橋箱崎自動車ターミナル及び駐車場の都市計画」にさかのぼる。翌1969年には東京シティ・エアターミナル株式会社が設立された。目的は、都心から約66km離れた成田空港へのアクセス不便を解消することであり、首都高速道路と一体で開発が進められた。

 建物は1972年に竣工し、当初は羽田空港へのターミナルとして開業した。1978年5月の成田空港開港により、東京の玄関口としての機能を本格的に開始した。

 開業当初の箱崎は路面電車が廃止されていたため、タクシー利用が多く、公共交通は不便であった。しかし1990(平成2)年、地下鉄半蔵門線が水天宮前駅まで開業。同駅と直結したことで利便性が大幅に向上し、成田空港への重要拠点としての機能を果たすようになった。

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