全国で広がる「バス無料デー」しかし“買い叩き”になる危険性も? 広島・尾道初の無料5DAYSから考える

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広島県尾道市が初めて実施する「バス運賃無料5DAYS」は、5日間で利用者増を狙う一方、全国的に広がる無料デーは一過性の課題も抱える。長崎や熊本の事例では利用者1.5~1.9倍増、経済波及効果1.1~1.9億円を確認。長期的な利用定着には行政・事業者・地域の協働が不可欠だ。

尾道市バス無料施策開始

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 広島県尾道市は2025年10月9日から13日までの5日間、市内路線バスの運賃を無料にする「バス運賃無料5DAYS」を初めて実施する。広島県の県紙・中国新聞が8月26日、報じた。

 県南東部に尾道市ではモータリゼーションの進展にともない、マイカーへのシフトが続いている。人口の自然減や都心部への流出も進み、バス事業者を取り巻く環境は厳しい。さらにコロナ禍でテレワークが普及し、全国的に定期券収入が減少している。

 加えて、2024年問題にともなうドライバー不足も深刻化しており、路線バス事業は袋小路に陥りつつある。こうしたなかで、事業者はとにかく市民にバスを利用してもらい、その利便性を体験してもらうことで、新たな利用者の開拓と収益確保を狙っている。今回の無料施策は、その一環である。

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