全国で広がる「バス無料デー」しかし“買い叩き”になる危険性も? 広島・尾道初の無料5DAYSから考える
広島県尾道市が初めて実施する「バス運賃無料5DAYS」は、5日間で利用者増を狙う一方、全国的に広がる無料デーは一過性の課題も抱える。長崎や熊本の事例では利用者1.5~1.9倍増、経済波及効果1.1~1.9億円を確認。長期的な利用定着には行政・事業者・地域の協働が不可欠だ。
自家用車転換の施策

改めて見ると、全国で無料デーがイベント化していることは否めない。単発イベントの珍しさから、乗りに行く人も多いと考えられる。広報は総じて
「事前告知が遅い」
印象だ。早期に計画し、リピート可能な広報で利用を喚起し、中長期的な乗車につなげる研究が優先される。
効果をじわりと浸透させ、自家用車からの転換を促すには、チケット配布やポイント還元など、利用者が得を実感できる仕組みが有効だ。小田原市の例では店舗との連携で購買に応じたバス券を配布しているが、地域の関係者と協力して路線バスの魅力を伝えることも重要である。
さらに、ドライバーへの報酬や士気維持策も不可欠である。効果データを蓄積し評価を進めることが、路線バス事業者の強い労働組合との合意形成をスムーズにする。交通行政には、全国の無料施策の効果を定量化し可視化した上で、共有する役割も期待される。