熊本市民が愛した“レトロ顔”が引退!「推し電」1位の名車、その激動の生涯! 福岡を支え、熊本を救った連接車の軌跡をたどる
熊本市電の「5014号」が営業運転を終えた2025年2月、その歴史を振り返るとともに、5000形連接車が熊本の交通を支えた過程が浮かび上がる。高度経済成長期の福岡から熊本へと引き継がれたこの車両は、都市の発展と共に移り変わる交通事情に柔軟に対応し、市民の生活を支え続けた。特に連接車としての特性が、混雑解消や冷房車導入の効果と相まって、熊本市電の存続に大きく貢献したのだ。
街づくりに貢献した5000形の軌跡

2025年2月、熊本市電の「熊本市電イチの人気者」が営業運転を終えた。
その人気者は、5000形連接車「5014号(5014AB)」だ。ベージュと茶色に塗られた流線型のデザインは、少しレトロな雰囲気を持ち、多くのファンを魅了した。2024年6月に行われた熊本市電の人気投票「推し電コンテスト」では、1位を獲得している。
この5000形は、もともと福岡で作られた電車だ。兄弟車両を含む西鉄1000形連接車シリーズ(西鉄北九州市内線1000形・福岡市内線1001形・1101形・1201形・1301形)は、福岡県の高度経済成長期を支えた後、熊本市電5000形として「熊本の歴史を動かした」電車となった。
今回は、熊本市電5014号を中心に、街を走り、街づくりにも影響を与えた西鉄1000形の歴史を追っていく。