「伊豆縦貫道」全開通するとどうなる? 東京~下田40分短縮がもたらす、年間500億円の経済効果とは

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伊豆地方の観光・物流・防災の中核を担う伊豆縦貫道。全線開通で東京~下田間の所要時間は最大40分短縮、経済波及効果は年間500億円規模。地方経済活性化の鍵を握る課題路線として、その真価が問われるときである。

伊豆観光渋滞の現実

伊豆縦貫自動車道(画像:中部地方整備局沼津河川国道事務所)
伊豆縦貫自動車道(画像:中部地方整備局沼津河川国道事務所)

 静岡県は観光スポットが豊富で、2024年の「都道府県魅力度ランキング」では9位にランクインした。そのなかでも伊豆地方は、特に人気の高い地域である。

 伊豆地方は静岡県南東部に位置し、首都圏からのアクセスが良好だ。中京圏からは距離があるものの、近年の交通改善により集客力が増している。

 しかし、車で伊豆地方を訪れる場合、玄関口となる沼津市までのアクセスは良好である一方、その先の交通網は十分に整備されていない。主要幹線道路は国道135号線、136号線、414号線があるが、観光客と地元住民の利用で慢性的な渋滞が発生している。

 伊豆地方は半島である一方、山岳地帯が多く、道路の新設や拡張が困難だ。交通量に見合う道路の確保が難しいことが、渋滞の根本原因となっている。

 静岡県の観光入込客数は2023年に約7200万人で、伊豆地方はその約3割を占める。県内でも重要な観光拠点であることは明らかだ。しかし、交通インフラが不十分なため、往復所要時間が長くなり、滞在時間が短縮される傾向にある。その結果、観光消費も抑制され、地域経済への効果が十分に発揮されていない。

 仕事とプライベートで年間約6万kmを走る私(都野塚也、ドライブライター)も静岡県をたびたび訪れるが、伊豆地方は独特の雰囲気と体験価値が魅力だ。交通アクセスが改善されれば、訪問回数はさらに増えるだろう。

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