駅前に残る「閉鎖百貨店」――日本一の人口増加率を誇ったベッドタウンは、なぜ「買い物難民の街」になったのか
三重県名張市の桔梗が丘住宅地で、駅前の百貨店跡が閉鎖されたまま放置されている。市民からは再開発を望む声が上がるが、市の財政は厳しい状況にある。
閉鎖百貨店が映す現実

三重県名張市の桔梗(ききょう)が丘住宅地で、駅前の百貨店跡が閉鎖されたまま放置されている。市民から再開発を求める声が出ているが、市は危機的な財政状況だ。
近鉄桔梗が丘駅前に出ると「近鉄プラザ」の看板が残る建物が見えてくる。外観に大きな傷みが見えず、まだ使えそうだが、フェンスで囲まれ、なかへ入ることができない。名張市の戸建住宅団地・桔梗が丘。地域のランドマークだった近鉄百貨店跡が、無残な姿をさらす。
施設は1990(平成2)年、近鉄グループのスーパーを3階建てに増床改装し、「近鉄プラザ桔梗が丘店」として開業した。1998年には百貨店に業態を転換、売り場面積約1万2000平方メートルの「桔梗が丘近鉄百貨店」になる。しかし、売り上げが伸び悩んで2012年、百貨店の売り場を半減、近鉄プラザに戻したが、2018年に閉店した。
その後、1階部分に地元スーパーや大手ドラッグストアを誘致して営業を再開したものの、2020年で両店が撤退、再び休業状態に。百貨店時代には通りをはさんだ東側に2階建ての別館があった。本館とデッキで接続してテナントを入れていたが、2016年に更地にされている。フェンスに囲まれた敷地をのぞくと、雑草が人の背丈ほどに伸びていた。
コンビニで買い物していた女性(78歳)は
「昔は百貨店で何でも買えたのに、今はコンビニしかない」
と不満を訴える。近鉄百貨店の売り上げが伸びなかったのは、近隣商業施設との競争激化やインターネット通販の台頭などが考えられるが、住民が老い、現役時代の購買力を失ったことも無関係ではない。