新東名「最後の25km」が秘める1.2兆円効果――延期を乗り越え高松トンネルが挑む地質との闘い

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新東名高速道路の全線開通は、東名高速の慢性的渋滞解消と物流効率化に直結する。未開通の約25km区間が開通すれば、東名区間の渋滞損失時間は年間で数百時間削減され、経済効果は約1.2兆円に達すると試算される。山岳地帯の高松トンネルなど難工事を抱えつつも、建設は着実に進行中で、災害時の代替ルート確保や沿線製造業・物流拠点へのアクセス向上など、多方面での効果が期待される。全線開通は地域経済の新たな起爆剤となる。

新東名高速の現在地

新東名の未開通区間手前の伊勢原JCT(画像:都野塚也)
新東名の未開通区間手前の伊勢原JCT(画像:都野塚也)

 新東名高速道路(新東名)は、日本の新しい主要路線として近年開通した。長年、日本の交通を支えてきた東名高速道路(東名)を補完する形で計画が始まった経緯がある。

 路線は神奈川県中部に位置する海老名市の海老名南ジャンクション(JCT)を起点に、愛知県豊田市の豊田東JCTを終点とする。総距離は約253kmに及ぶ。2025年9月時点では、海老名南JCTから新秦野インターチェンジ(IC)まで、さらに新御殿ICから豊田東JCTまでの約228kmが供用されており、全体の9割が開通済みである。

 新東名の特徴は、

・従来より広い車線幅
・緩やかなカーブ設計
・充実したサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)の施設
・見やすく詳細な案内板

などにある。これらにより、利便性と快適性は大きく向上した。実際、東京から静岡・名古屋・大阪方面への移動機会は大幅に増えた。終点の豊田東JCTから先は伊勢湾岸道や新名神高速道路につながり、関西以西へのアクセスも改善されている。

 一方で、新東名には

「約25km」

の未開通区間が残されている。早期の完成が望まれるが、同区間は新東名・東名でも最も難工事とされる地域にあたり、建設の遅れが続いているのが現状だ。

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