「充電に並ぶのは、もう終わりにしたい」 日産はEVの常識を塗り替えるのか? 年間充電が最大65%減少、“自分で作る車”という選択肢

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オランダの新興ソーラーカー「Lightyear」は日産と提携し、太陽光で最大23km走行可能なEVを実証。都市部利用で充電回数を最大65%削減、災害時バックアップとしても期待される自律型移動の新潮流を探る。

採算ラインの可視化(経済+リスク・リターン)

トヨタ・bZ4Xに搭載されたソーラーパネルによる年間発電量の試算(画像:千葉トヨペット)
トヨタ・bZ4Xに搭載されたソーラーパネルによる年間発電量の試算(画像:千葉トヨペット)

 日本国内では、2017年にトヨタがプリウス・プラグインハイブリッド(PHV)に車載ソーラーシステムを載せ、量産化した。現在でも、プリウスPHVやEVのbZ4Xにソーラーシステムをオプション設定しており、価格は30万円前後となっている。

 この採算ラインを具体的に検討すると、bZ4Xの年間発電量は約1850kmに相当すると試算されている。トヨタのシミュレーターに基づけば、年間で1万円程度の電気代節約に相当する。オプション価格が節約額の30年分に達する現状では、直接的な支出回収を目的とした導入は合理性を欠く。ただし、この費用を純粋な投資ではなく、インフラ断絶時でも最低限の移動を保証する費用と見なせば、評価は一変する。

 停電や災害によって電力網が機能停止した際、自律的に移動能力を確保できる権利を30万円で買い切るという、事業継続計画(BCP)の観点では、十分な価値を見出せる。年間の走行距離が長い層や、屋外駐車比率が高い環境においては、電欠への不安を緩和しつつ、非常時のバックアップを確保できる点が実利となる。

 今後はパネルの全面的な搭載ではなく、コストを抑えた部分的な実装によって、実利と安全保障の均衡点を探る方向性が求められるだろう。

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