「充電に並ぶのは、もう終わりにしたい」 日産はEVの常識を塗り替えるのか? 年間充電が最大65%減少、“自分で作る車”という選択肢

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オランダの新興ソーラーカー「Lightyear」は日産と提携し、太陽光で最大23km走行可能なEVを実証。都市部利用で充電回数を最大65%削減、災害時バックアップとしても期待される自律型移動の新潮流を探る。

普及を阻む壁

一般的なソーラーシステム(画像:Pexels)
一般的なソーラーシステム(画像:Pexels)

 ソーラーカー普及の壁となるのは、車両コストの上昇と軽量化要求の対立関係である。航続距離を伸ばすために車体の軽量化が求められる一方、追加装備となるソーラーシステムの重量や費用が、得られる利益に見合うかどうかが判断の分かれ目となる。発電量が日照時間に大きく左右されるため、地域や季節、駐車環境によって変動し、航続距離の延伸を享受できる利益には偏りが生じる。

 経済的なリスクとして無視できないのが、事故時の修理費用と保険料の動向である。ボディと一体化した曲面構造のパネルは、軽微な接触事故であっても交換費用が高額になりやすく、車両全損と判定される確率を高める。これは結果としてユーザーが負担する保険料率を引き上げ、走行コストの節約分を相殺してしまう懸念がある。見た目の美しさと、衝突時の経済的な復旧性能が両立していない点は、量産化における大きな課題だ。

 さらに、ソーラーEVが太陽光エネルギーのみで無限に走行できるといった誤解が広まることも、市場形成を妨げる。消費者の間で期待値が実態を超えて膨らむことは、実際の利便性との乖離を招き、普及の勢いを削ぐ恐れがある。加えて、パネルの発電効率が向上し続ける現状では、初期に投入されたモデルが早期に陳腐化し、アセットとしての価値が損なわれるリスクも考えなければならない。

 技術の進展速度が速い領域だからこそ、購入時点での性能が将来的な市場価値を維持できるかという不確実性が、慎重な投資判断を求めるだろう。

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