「ボロいトラック」に終止符を! 有効求人倍率2.8倍の壁を破った「機能美トラック」の正体
スタイリッシュで、採用、差別化、安全意識の向上など運送業界の課題解決につながる機能を備えたドレスアップトラックが注目されている。これは運送事業者にとって新たな競合差別化手段につながるからだ。
車両刷新による応募増

「こんなにもトラックドライバーの応募が来ないものか……」
雄翔(大分県豊後大野市)の統括本部長・後藤英司氏は頭を抱えていた。近年、同社では採用広告を打っても、ほとんど応募がない状況が続いていた。
2025年8月の全職業の有効求人倍率は1.18倍だ。ところが、「自動車運転従事者」(トラックドライバーだけでなく、バスやタクシーも含む)の有効求人倍率は2.77倍。倍以上高く、人手不足の深刻さを物語っていた。
困った雄翔は、藁にもすがる思いで架装メーカーのセノプロトラックス(奈良県奈良市)に依頼し、スタイリッシュなトラックを導入した。すると、採用媒体に関わらず、口コミで応募が来るようになったという。実際、雄翔のトラックを見た他社のドライバーが、自社のドライバーに
「トラック格好良いね! ドライバー募集しているのかな?」
と声をかけてくることが増えた。
筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)は以前、ある運送事業者でドライバーのメンタリティ診断を行ったことがある。その会社のトラックは、大半が10年落ちの古い車両だった。約60人のドライバーのほぼ全員が
「古いトラックに乗るのは恥ずかしい」と答えた。ドライバーになる人は、やはりクルマ好きが多い。自然と
・古いクルマより「新しいクルマ」
・普通のクルマより「格好良いクルマ」
を選びたがる。「古いクルマ = 格好悪い」と一概にはいえない。しかし、この会社のトラックは整備が不十分で、傷を放置したり、外れかけたバンパーをガムテープで止めたり、窓ガラスにヒビが入っても車検が通ればそのまま使うといった状態だった。診断の結果、この会社のドライバーたちの愛社精神は総じて低いと判定された。