人口わずか161人! 絶海の孤島「青ヶ島」、上陸困難が示す日本最少自治体のリアルとは
東洋のマチュピチュ秘島

青ヶ島をご存じだろうか。同島は伊豆諸島に属する火山島で、本州から約360km、最も近い八丈島からも南へ約70km離れた太平洋上に位置する。島全域が東京都青ヶ島村に属し、住所は全世帯無番地である。
2024年10月時点の人口は161人で、日本の市町村のなかでもっとも少ない。近隣の八丈島が6717人、新島が2355人(いずれも2025年9月現在)であることからも、その少なさが際立つ。
住民は全員標高100m以上の高地に居住しており、
「東洋のマチュピチュ」
とも呼ばれる。島内には小中学校があるが、高校以上の教育施設はなく、進学希望者は島外へ出る必要がある。特産品として「青酎」という焼酎があり、杜氏ごとの個性を反映した銘柄が存在するが、後継者不在などで製造が途絶えたものもある。
地形は二重式火山で、北部に黒崎火山、南部に主成層火山があり、外輪山に囲まれたカルデラが露出している。最高地点は外輪山北西の大凸部で標高423m、内輪山の丸山は1785年の天明の大噴火で形成された。島の周囲は切り立った海食崖に囲まれ、砂浜は存在せず、池之沢火口内には火口丘や樹齢200年以上のスギ、オオタニワタリが生育している。集落は北部の休戸郷と西郷に集中し、主要な港は青ヶ島港(三宝港)で、大千代港は崩落により事実上使用不能となっている。尾山展望公園や丸山遊歩道など、観光スポットも整備されている。
気候は温暖湿潤で黒潮暖流の影響を受け、年間平均気温は10~25度前後である。集落が高地にあるため、周囲の島々よりやや涼しく感じられ、湿度は年間平均85%と高く、海からの強風や天候の急変に常に晒される。
歴史的には徐福伝説に基づき女人禁制の島とされていた時代があり、文献上では15世紀頃から記録が残る。天明の大噴火により全島が無人化し、約40年後に住民が還住した。近年の火山活動は顕著ではなく、噴気は火口周辺でのみ確認されている。