羽田アクセス線「中央線直通」は可能なのか?──都知事が期待、課題を解決する「三つの改良工事」をご存じか

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小池都知事が掲げた羽田アクセス線中央線直通構想は、西東京から羽田まで最短51分に短縮する可能性を秘める。都市構造の重心変化や首都圏空港間の競争力再編を伴う一大プロジェクトであり、数百億円規模の投資と線路改良が不可欠だ。

成功のための条件

中央線羽田直通後下り時刻表(画像:北村幸太郎)
中央線羽田直通後下り時刻表(画像:北村幸太郎)

 中央線沿線住民にとって、羽田へ行く人も行かない人もメリットが大きい案であることが今回のシナリオで明らかになった。しかし実現には課題が残る。まず投資コストを正確に試算し、費用負担を明確にする必要がある。JR東日本、国、東京都の役割分担も決めなければならない。さらに

・新宿駅の改良
・連絡線の複線化
・折り返し設備の移設

を一体整備として進めることが必須である。ダイヤ編成も空港利用者専用にせず、通勤・通学需要と共存できる設計にする必要がある。特に費用負担については、自治体が単に期待を述べるだけでは鉄道事業者は動けない。京葉線問題で貧乏くじを引いた千葉市の例のように、

「赤字でない鉄道事業者には金は出せない」

という姿勢ではなく、地域価値向上のための投資として財政出動を考えることが早期実現の条件となる。

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