羽田アクセス線「中央線直通」は可能なのか?──都知事が期待、課題を解決する「三つの改良工事」をご存じか
小池都知事が掲げた羽田アクセス線中央線直通構想は、西東京から羽田まで最短51分に短縮する可能性を秘める。都市構造の重心変化や首都圏空港間の競争力再編を伴う一大プロジェクトであり、数百億円規模の投資と線路改良が不可欠だ。
直通運転が抱える技術的課題

羽田アクセス線の中央線直通を実現するには、複数の課題が存在する。
まず、「新宿駅のボトルネック」である。現在の新宿駅配線では、中央線から羽田方面への列車が埼京線や湘南新宿ライン池袋方面列車と平面交差を起こす。遅延時にはダイヤ乱れのリスクが常態化する。埼京線や湘南新宿ラインの遅延により、中央線発の羽田方面列車を新宿駅で待機させると、朝ラッシュ時には2~3分おきに後続列車が到着するため渋滞が発生する。これを避けるため、中央線から羽田方面の12両編成列車が信号待ちできるスペースが連絡線内に必要となる。
次に、「特急折り返しスペースの問題」がある。新宿駅には中央線特急の折り返し設備(東京方引上線)があるが、この回送列車が中央線と埼京線間の連絡線と平面交差するため、遅延波及を抑えるには線路再配置が必要だ。中央線特急の東京駅延長運転を全列車に拡大し、折り返し機能を東京駅に移すことも検討課題となる。現在も朝ラッシュでは新宿駅構内の特急回送が東京方面線路を塞ぎ、東京方面列車が渋滞する。東京駅では夕ラッシュ時に2番線しかない線路の片方を特急が長時間占有し、残り1線で通勤電車を捌くため、列車詰まりや折り返し遅延が頻発する。東京駅拡張による対策が急務である。
さらに、「中央線・埼京線連絡線の単線区間」も課題だ。現在は単線で、1時間に2~4往復なら容量に問題はない。しかし、ダイヤ乱れ時には連絡線を信号待ちスペースとして使用できる必要がある。中央線から羽田方面列車が信号待ちで連絡線を塞いでも、羽田方面から中央線に入る列車がいつでも入れる体制を作ることが重要だ。そのため連絡線の複線化を検討すべきである。