「EV100%は非現実的」フォルクスワーゲンCEOが断言──EUエンジン車禁止見直し前倒しに、日本メーカーは活路開けるか

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欧州自動車市場はEV販売が前年同期比24%減と失速し、BYDなど中国勢が攻勢を強める。IAA2025ではEUの2035年エンジン車禁止見直しと「Eカー構想」が浮上。雇用数百万人を抱える産業の命運を左右する決断が迫られている。

欧州自動車産業に迫る制度転換

IAA2025で演説するドイツ・メルツ首相(画像:IAA2025)
IAA2025で演説するドイツ・メルツ首相(画像:IAA2025)

 欧州自動車市場は、経済環境の悪化を背景に停滞している。電気自動車(EV)需要も伸び悩み、中国の比亜迪(BYD)などとの競争は一段と激しくなっている。欧州域内に多数の工場を持つメーカー各社にとって、雇用や稼働率をどう維持するかが喫緊の課題だ。

 2025年9月8日に開幕した「IAA Mobility 2025(ミュンヘン・モーターショー)」では、欧州や中国の自動車メーカーが新型EVを発表し、注目を集めた(9月14日閉幕)。しかし例年以上に強調されたのは、欧州自動車産業に大きな転換点が訪れているという事実だった。

 ショー期間中、フォルクスワーゲン(VW)、メルセデスベンツ、ステランティスの経営陣は、2035年までにエンジン車の新車販売を段階的に禁じる欧州連合(EU)の方針に強い反発を示した。

 こうした状況を受け、9月12日には欧州委員会のフォンデアライエン委員長と自動車産業幹部による会合が、ベルギー・ブリュッセルのEU本部で開かれた。その結果、エンジン車販売禁止措置の見直し時期は前倒しされ、当初の2026年から2025年末に繰り上げられる見通しとなった。

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