EV化が進む「自動車産業」 覇権握るのは米中?欧州? EU議会の提言とは

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欧州議会が発行した文献を題材として「自動車分野の未来」を概観するシリーズ企画。第1回は「世界自動車バリューチェーンの趨勢」をテーマとして「欧州自動車分野の動向と将来への影響」を考える。

排ガス規制がもたらした技術進化

 実際の道路を走行する際、このソフトは試験中ではないと判断し、排気ガス後処理装置を有効にしないため、規制値の40倍の汚染物質を排出していた。悪質な犯罪である。この事件はディーゼルエンジンに対する顧客や社会の信頼を損ない、電動化の引き金を引いた。

 時間をかけて困難に正面から向き合った日本と、その場しのぎで安易な逃げ道を選んだドイツ。今後のグリーン化やデジタル化で同じことが起きないことを願う。

 VWのような特殊な例を除けば、これまでの排気ガス規制は飛躍的な技術の進化をもたらし、経済の活性化と地球環境の悪化を高次元で両立させ、消費者にも恩恵をもたらしてきた。一方、現在の気候中立化は、消費者の要望ではなく政治主導であり、今後排気ガス規制同様の理想的な道筋を歩むことができるのかは未知数だ。

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