EV化が進む「自動車産業」 覇権握るのは米中?欧州? EU議会の提言とは

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欧州議会が発行した文献を題材として「自動車分野の未来」を概観するシリーズ企画。第1回は「世界自動車バリューチェーンの趨勢」をテーマとして「欧州自動車分野の動向と将来への影響」を考える。

新技術による世界バリューチェーンの活性化

車の所有に関する調査結果(画像:Green Car Congress)
車の所有に関する調査結果(画像:Green Car Congress)

 過去10年間で、合弁事業は4倍に増加。特に電動化とモビリティーシェアリング分野に集中し、ここから生まれる新技術が市場への新規参入のハードルを下げている。

 米国や中国の巨大技術企業は、財政力を背景に、情報関連技術(IT)や電子機器の製造・サービスに投資することで新たなビジネスモデルを構築し、それがモビリティーの将来に影響している。

 自動車産業のリーダーを自任する欧州は、今やフォロワーの立場になった。

 このような変革は、既存の企業を創造的に破壊する。例えば顧客は、ブランドや利便性よりモビリティー関連製品の付加価値を重視する可能性がある。

 アリックス・パートナーの世界自動運転車レポートによる、中国・フランス・ドイツ・イタリア・英国・米国の6500人以上の消費者を対象とした調査によると、現在の自動運転支援システムを手放し、自動運転への機能向上に対して追加費用を支払う意欲は、中国の8%からドイツの24%の範囲で、米国は9%(1868~1709ドル)と低調だ。

 付加価値に興味はあっても「安全性への懸念」があり「財布のひもも堅い」。

 かつて車は3C(車=Car、クーラー=Cooler、カラー=Color TV)として所有することに価値があった。近年行われた、所有をやめ新たなビジネスモデルに移行する意欲の調査結果を見ると、車文化が未成熟な中国と、車先進国では所有嗜好に大きな差がある。

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