EVこそ電力不足時の「救世主」? 安易な過信に潜む“思いがけない誤算”とは

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初の「電力需給逼迫警報」の発令によって、EV普及の賛否があらためて問われた災害大国・日本。実際のところ、EVは災害時にどの程度バッテリーとしての役割を果たせるのか?

初の「電力逼迫警報」が発令

EVのイメージ(画像:写真AC)
EVのイメージ(画像:写真AC)

 2022年3月21日(月)夜、政府は東京電力・東北電力管内に「電力需給逼迫(ひっぱく)警報」を初めて発令した。これを受けてSNSなどでは「電力供給が不安定ではEV普及は難しいのではないか」といった懸念の声が見られた。一方、EVは大容量バッテリーとして停電時の家庭用バッテリーとして活用できる。その有用性はどの程度のものなのか? 災害大国・日本におけるEVの今後の展望を、日本自動車ジャーナリスト協会の会田肇氏が解説する。

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 東日本大震災から11年が経過した2022年3月16日(水)、その時を思い起こさせるような強い揺れが再び東日本を襲った。この影響で死傷者が出たのは痛ましいことだが、今回、社会に大きな波紋を投じたのが「電力」だった。

 6基の火力発電所が震災により故障し、復旧の目途が立たなくなってしまったのだ。これにより、寒の戻りがあった21日(月)には停電の危機が訪れると電力の利用を控えるよう、政府から「電力需給逼迫(ひっぱく)警報」が発令される事態となった。

 ただ、多くの人たちが節電に努めたことも功を奏したのか、実際には停電は発生せず、警報も取り下げられた。とはいえ、震災が頻発する日本にとってこうした事態はある程度予測できたはず。にもかかわらず、今回のような状況になるとは、いかに日本の電力供給体制が脆弱(ぜいじゃく)なものだったか、身をもって知ることになったわけだ。

 こんな状況下で一躍注目されるようになったのがバッテリーEV(BEV)である。大容量のバッテリーを搭載するBEVなら、停電時に家庭用電源としても活用できるという考え方だ。

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