EV化が進む「自動車産業」 覇権握るのは米中?欧州? EU議会の提言とは

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欧州議会が発行した文献を題材として「自動車分野の未来」を概観するシリーズ企画。第1回は「世界自動車バリューチェーンの趨勢」をテーマとして「欧州自動車分野の動向と将来への影響」を考える。

世界的な地域産業

 米国のフォードは1908年に世界初のコンベア式量産ラインでT型フォードの生産を開始、1913年には英国工場、1925年にはドイツ工場で現地生産を開始して以来約100年にわたり世界的な産業となっている。

 近年は、現地調達から現地生産により新興国企業もバリューチェーンの上流に参入する機会を得ている。

 欧州ではチェコ共和国、ハンガリー、ポーランド、スロベキアやルーマニア、さらに、中国やインドは巨大な国内市場が成長の動力となってこの傾向が著しく、今や中国は世界最大の自動車市場となった。

新型コロナウイルスから学んだこと

 自動産業は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、2008~2009年のリーマン・ショック以上に厳しいストレス試験を受けた。結果として、世界バリューチェーンを強化するための施策に関するヒントをつかんだ。以下に列挙する。

(1)電動化の加速:2021年の乗用と小型商用のBEV + PHEV世界販売は675万台、うち欧州販売は233万台を記録し、電動車採用の「転換点」と言える。ただし、そのうち30%を占めるPHEVがゼロ排出車に該当するのかは、国によりまちまちだ。

(2)デジタル通信の重要性:テスラはデジタル通信を活用して、自宅納車など人と触れないオンライン販売制度を中国で構築して販売が10%増加。またオーバー・ザ・エアーOTA(インターネット経由で車両ソフトを更新する新たな仕組み)を初めて採用した。

(3)サプライチェーンの脆弱性:「ジャスト・イン・タイム(必要なときに必要な数を造る)」より「ジャスト・イン・ケース(万一に備える)」が重要となった。

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