EV化が進む「自動車産業」 覇権握るのは米中?欧州? EU議会の提言とは
- キーワード :
- 自動車, CASE, EV, カーボンニュートラル, 脱炭素, BEV, PHV, 欧州議会, EU自動車産業の将来を読み解く
欧州議会が発行した文献を題材として「自動車分野の未来」を概観するシリーズ企画。第1回は「世界自動車バリューチェーンの趨勢」をテーマとして「欧州自動車分野の動向と将来への影響」を考える。
EUの自動車産業

EUは世界的自動車会社が本拠地を置き、2019年の売上高で1位のボッシュ、2位のコンチネンタル、5位のZF、9位のミシュラン、10位のバレオなどの大規模プライヤーとこれらを支える中小サプライヤーを含めて推定1万7000の製造企業が活動している。
このうち、ドイツに2757社、イタリアに2167社、ポーランドに1717社、スペインに1623 社、フランスに1611社、チェコには1089社があり、総生産高の45%以上がEU域内の国境をまたぐバリューチェーンに依存する。
欧州西部の自動車製造企業は、自社のサプライヤーネットワーク内で労務費の安い中央部および東部のEU加盟国に部品の製造を外注している。
世界のトップ企業と中小企業を結び付ける地域統合

21世紀最初の10年間で、自動車の世界バリューチェーンは三つの変化を経験した。
・政治的圧力:貿易摩擦緩和のための現地生産の拡大
・サプライヤー役割の増大:ティア1サプライヤーの上流に、ティア0.5サプライヤー(自動車会社との長期間の共同開発に参画し、コスト目標の設定や製品開発の一部を分担する、自動車会社とサプライヤーの中間的な存在)が出現
・世界統合と地域統合:生産は操業コストが安い地域へ段階的に移行