JR陸羽西線は「実質廃線」なのか? 営業係数「3297円」の衝撃、バス代行「2025年度まで延長」という現実を考える
JR東日本は国交省の高規格道路建設にともない、陸羽西線の全線運休とバス代行輸送を2025年度まで延長。日々の利用者は1987年の2185人から2023年には129人に激減し、7億円超の赤字を抱える地域鉄道の存続問題が浮上。競合する道路整備との兼ね合いとともに、沿線の未来が問われる局面を迎えている。
バス代行3年超の異例対応

JR東日本は2022年2月22日、国土交通省が建設を進める高規格道路「新庄酒田道路」に関連し、(仮称)高屋トンネルの工事にともなってJR陸羽西線の運行を休止し、バスによる代行輸送を実施すると発表した。
鉄道と道路のトンネルが交差する部分は距離が非常に近く、工事中の安全確保に技術的な課題が多いことが理由とされる。
代行輸送の実施期間は当初、2022年5月14日から2024年度内としていた。しかし2024年11月7日、JR東日本は工事の遅れを理由に、バス代行を2025年度まで延長すると発表した。高規格道路の建設にともない、既存の鉄道路線が一定期間休止される事例は極めて珍しい。少なくとも筆者の知る限り、前例はない。
しかも新設される高規格道路は、並走する鉄道にとって競合インフラである。道路整備と鉄道休止が同時に進むことで、公共インフラ同士の競争という構造的な矛盾も浮かび上がる。