「不正が許せない」 ついに中央線グリーン車で“赤ランプ狩り”発生? SNSで広がる困惑の声、もはや「グリーン車警察」か? 自力救済が可視化する制度設計の限界とは

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2025年3月、JR中央線のグリーン車に導入された新制度が、SNSで「グリーン車警察」の出現を招いた。善意の第三者による“私的検札”は、制度の設計ミスが引き起こした副産物に過ぎない。赤ランプ問題を根本から解消するには、誤解の余地をなくした「間違えようがない」設計が求められる。

「私的検札」現象

JR中央線(画像:写真AC)
JR中央線(画像:写真AC)

 2025年4月、SNSである種の異変が可視化された。X(旧ツイッター)のまとめメディア「トゥギャッター」には、「中央線グリーン車内で、赤ランプの席にいる客に「不正乗車してますね」と声をかける人が出没してる」というタイトルでさまざまな報告が集められた。

 それは、鉄道業務を委託されたわけでもなければ、制服も社員証も持たない民間人による“私的検札”の出現である。公共空間における秩序の維持が、本来の権限者ではなく善意の第三者によって行使され始めたとき、我々は何を考えねばならないのか。

 表層的には迷惑行為で片付けられかねないこの現象の背後には、交通サービスと制度設計、そして経済的正しさの間で軋む、見過ごせない構造的ひずみがある。

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