「乗らないなら廃止」赤字ローカル線問題、「正論」だけで解決するなら誰も苦労しない! 地方消滅を防ぐ現実的解決策とは
地方鉄道の存廃問題が深刻化する中、「赤字路線は廃止すべき」という単純な議論では解決できない現実が浮き彫りに。高齢化社会の影響や地域経済への打撃を考慮した、持続可能な鉄道活用策を求める議論が急務だ。
地域社会の崩壊リスク

地方の鉄道網が縮小を続ける中、ネット上では「赤字路線は廃止すべき」という意見が多く見られる。「鉄道会社は営利企業なのだから、採算が取れなければ撤退は当然」「存続を求めるなら利用者が増えなければ話にならない」といった主張は、一見もっともらしい。しかし、こうした意見は社会の現実を踏まえたものというより、「「正論」を言ってスッキリしたい」という欲求から生まれていることが多い。
もし「赤字だから廃止」が唯一の正解なら、誰も悩む必要はない。自治体も鉄道会社も利用者も、感情を交えず経営数値だけを見て判断すれば済む話だ。しかし、現実にはそう簡単に割り切れないからこそ、各地で議論が続いている。
「正論」を語ること自体は否定しない。ただ、それが現実を動かす力を持つかどうかは別の話だ。「赤字だから廃止」と口にする人は多いが、その先にどのような影響があるのか、実際にどうすればいいのかまで考えず、思考を止めてしまっている。ローカル線の問題を語るなら、経営の収支だけでなく、地域社会全体の仕組みを見据えた議論が求められる。