「乗らないなら廃止」赤字ローカル線問題、「正論」だけで解決するなら誰も苦労しない! 地方消滅を防ぐ現実的解決策とは 

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地方鉄道の存廃問題が深刻化する中、「赤字路線は廃止すべき」という単純な議論では解決できない現実が浮き彫りに。高齢化社会の影響や地域経済への打撃を考慮した、持続可能な鉄道活用策を求める議論が急務だ。

地域の未来を描く鉄道存廃論

 赤字ローカル線問題を考える上で大切なのは、単なる経済的合理性だけでなく、地域社会の未来をどう描くかという視点だ。しかし、ネット上での議論は「正論」を振りかざし、「論破」することに快感を感じる人々によって支配されやすい。

 彼らにとって重要なのは、問題を解決することではなく、議論に勝つことだ。その結果、「存続か廃止か」という二項対立に陥り、より多様な選択肢が見えにくくなってしまう。

 ウェーバーの「鉄の檻」理論を踏まえれば、私たちがすべきことは「正論」を提示することではなく、

「議論の多様性を確保すること」

だ。鉄道の存廃を考える際には、短期的な収支だけでなく、地域の持続可能性や社会的コスト、さらには長期的な公共投資の視点も加えて議論を進めるべきだ。そして何より、ネット上で目立つ意見だけを「民意」として受け入れるのではなく、実際に地域で生活する人々の声を拾い上げることが必要だ。

「正論」だけで問題が解決するなら、誰も苦労しない。合理性を追求するあまり、人々の選択を縛り、新たな可能性を閉ざしてしまうことを、私たちは改めて認識すべきだ。

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