「熱海乗り換えは不便」 JR直通列車、なぜ減便? 熱海超え~沼津5.5往復に…地域分断で経済圏衰退も! 利用者に寄り添うダイヤ設計とは?

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近年、JRの境界駅をまたぐ直通列車が減少している。熱海、米原、黒磯などでは、ダイヤ改正のたびに乗り換えの手間が増し、利用者の負担が深刻化。鉄道会社のコスト削減や車両運用の合理化が背景にあるが、地域間の分断が進み、観光・経済活動への悪影響も懸念される。関係人口減少が続けば、地方経済のさらなる衰退を招きかねない。境界駅の機能強化や短距離ピストン運行など、解決策を探る。

減便の背景と現状

熱海駅(画像:写真AC)
熱海駅(画像:写真AC)

 間もなく全国的に春のダイヤ改正が実施されるが、特にJR各社の境界駅を越えて運行される列車の数が年々減少している。注目すべきは、東海道本線の熱海駅を超えてJR東日本とJR東海を直通する列車だ。例えば、2024年3月のダイヤ改正では、JR東日本管内から熱海を越えて沼津まで直通する列車が9往復から7往復に減便された。そして、2025年3月のダイヤ改正ではさらに減便され、7往復から5.5往復に縮小される予定だ。

 静岡東部、特に三島・沼津界隈のリクルート情報を見てみると、湯河原や真鶴あたりも歓迎されるパターンが多い。もちろん、境界駅である熱海で乗り換えればよいが、乗り換えの際の待ち時間やホーム間の移動など、乗り換えに対する抵抗感は少なくない。

 JRグループであっても、他社の車両を運転するための習熟や車両サービスの格差が生じ、また夜間や早朝に相手会社の列車が留置されることもあるため、各社はできる限り会社を跨ぐ列車の運行を避けたがっているのが現状だ。

 また、電車1両を1km走らせるために消費される電力は約2kWhで、電気代はおおよそ30円程度だ。地域間輸送用の短い編成と都市間輸送用の長い編成を比較すれば、コスト面では短い編成を使う方が効率的だ。これにより、境界駅での分割運転が好まれる傾向が強まっている。

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