「乗らないなら廃止」赤字ローカル線問題、「正論」だけで解決するなら誰も苦労しない! 地方消滅を防ぐ現実的解決策とは
地方鉄道の存廃問題が深刻化する中、「赤字路線は廃止すべき」という単純な議論では解決できない現実が浮き彫りに。高齢化社会の影響や地域経済への打撃を考慮した、持続可能な鉄道活用策を求める議論が急務だ。
合理性が招く地域衰退

赤字ローカル線の問題は、単なる収支計算にとどまらない。鉄道の存続は、その地域の住民がどんな未来を望むかという選択の問題でもある。
ウェーバーが指摘したように、合理性が支配する社会では、人々は機械の歯車のようになり、既存のシステムのなかで決められた選択肢しか持たなくなる。
例えば、ローカル線が廃止されると、住民の移動手段は自家用車やバスに限定される。しかし、高齢化が進む地域では、車の運転が困難な人々が増えており、代替交通が十分に整備されないまま鉄道が廃止されると、移動の自由が制限され、地域の衰退が加速する。
このように、「合理性」という名のもとに強制される選択は、必ずしも最適なものではない。むしろ、合理性を追求するあまり、未来の可能性を狭めてしまう危険性がある。鉄道を存続させることが常に最適解であるとは限らないが、少なくともその選択肢を議論する余地を残すことが社会にとって重要だ。