「乗らないなら廃止」赤字ローカル線問題、「正論」だけで解決するなら誰も苦労しない! 地方消滅を防ぐ現実的解決策とは
地方鉄道の存廃問題が深刻化する中、「赤字路線は廃止すべき」という単純な議論では解決できない現実が浮き彫りに。高齢化社会の影響や地域経済への打撃を考慮した、持続可能な鉄道活用策を求める議論が急務だ。
「廃止か存続か」の二択ではない
ネット上の議論では、「赤字なら廃止」「存続を求めるなら乗れ」といった単純な二元論に陥りがちだ。しかし、実際の鉄道政策には、より多様な選択肢がある。
例えば、「上下分離方式」への移行が挙げられる。この方式では、鉄道インフラを自治体や公的機関が保有し、運行のみを民間企業が担う。欧州では一般的な手法であり、インフラ維持の負担を公共と民間で分担することで、鉄道会社の収支悪化を防ぐ効果がある。
「第三セクター化」も選択肢のひとつだ。国鉄分割民営化時に多く採用された方式だが、自治体と民間の役割分担をより柔軟にすることで、新たな活用方法を模索できる。
また、「観光資源化」によって鉄道の価値を高める方法もある。通勤・通学需要だけでは維持が難しい場合でも、鉄道自体を観光資源として活用することで、新たな収益源を生み出せる。多くのローカル線は風光明媚なルートを持っており、その魅力を発信することで観光需要を喚起できる。
さらに、「地域の交通ネットワークの再構築」も重要だ。ただ鉄道を廃止するのではなく、バスやオンデマンド交通と組み合わせることで、より合理的な移動手段を整備できる。
これらの方法にはそれぞれ課題があるものの、「赤字なら廃止」という単純な思考停止に陥るより、はるかに現実的な議論といえる。