インドのビール王が築いた「キングフィッシャー航空」はなぜ破綻したのか? 設立6年でシェア20%獲得も、まさかの「給料未払い」に陥った理由とは?

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キングフィッシャー航空の興亡は、急成長と破綻の教訓を示す壮大な物語だ。設立から6年で20%の市場シェアを獲得したものの、過度な投資と不適切な経営により、2012年に運行を停止することになった。この事例は、ビジネスにおけるリスクと顧客ニーズの重要性を再認識させるものとなった。

ビール王の野望と失敗

キングフィッシャーA320-200(画像:Aktug Ates)
キングフィッシャーA320-200(画像:Aktug Ates)

「キングフィッシャー」というインドのビールをご存じだろうか。

 日本ではあまり知られていないかもしれないが、インドでは「ビール」といえば必ず名前が挙がる有名なブランドだ。このキングフィッシャーを国民に広く知らしめることに成功したのがビジェイ・マリヤ氏だ。

 彼はかつてF1チーム・フォースインディアのブランドで知られると同時に、航空会社のオーナーでもあった。キングフィッシャーを冠した航空会社は、一時は高品質なサービスや拡大戦略で注目を集めたが、急速に失速してしまった。就航から

「わずか7年」

で、従業員の給与が未払いになるほどの深刻な状況に陥り、最終的には運行停止と倒産を迎えることになった。

 ここでは、波乱に満ちたキングフィッシャー航空の経緯と、その破産に至った背景について述べていきたい。

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