自動運転が普及すると「雇用危機」「CO2増加」を招く? 世界の最新動向とは【EU自動車産業の将来を読み解く】

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ハード指向からソフト指向に移行しつつあり、デジタル製品とサービスの重要性が増しているとされるヨーロッパの自動車分野。最新の動向を専門的見地からリポートする。

EU自動車分野のデジタライゼーション

ヨーロッパの街並みと車のイメージ(画像:pixabay)
ヨーロッパの街並みと車のイメージ(画像:pixabay)

 欧州議会が発行した文献「The Future of the EU Automotive Sector(EUの自動車産業の将来)」を題材として「自動車分野の未来」を概観するシリーズ企画。第3回は自動運転の普及が市場や環境に与えるインパクトについて考える。

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『EU自動車分野の未来(The Future of the EU Automotive Sector)』第3章に「自動車分野はハード指向からソフト指向に移行しつつあり、デジタル製品とサービスの重要性が増している」とある。

 本論を始める前に、デジタル化について簡単におさらいしておこう。経済産業省によるとデジタル改革は三つの段階に分類される。

EUの優先課題:車のインターネット接続

デジタル改革の3段階(画像:経済産業省)
デジタル改革の3段階(画像:経済産業省)

 IT(Information Technology)という言葉も頻繁に用いられるが、コンピュータとネットワーク技術の総称で、インターネットやデジタル技術の進化に伴い「アナログ作業をデジタル化して便利にする」ことを意味し、デジタライゼーションに近い。

 自動車産業における活用事例は、製品企画、製品設計、製造、設備保全、車両管理、サプライチェーン管理や販売まで、多岐にわたる。

 自動車分野ではハードウエア指向からソフトウエアとデジタルサービス指向が強まっており、デジタル化がEUの今後の優先課題だ。

 インターネットに接続することで様々な技術を実現し、革新を起こすことは、デジタル・情報通信技術ICT分野のイノベーションが実例だ。

 コネクティビティー、先進的運転支援システムADASに関連する技術革新の比率は2010(平成22)年の26%が、2020年には55%となった。

 パーキング支援、情報通信、ソフトウエアサービス、音声制御と拡張現実AR(Augmented Reality)等の技術の重要性が増したことを踏まえ、EUの自動車産業は革新に対して準備できているだろうか。

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