「中国なしでは走れない」米国が認めた日――フォードCEOが踏み切った、歴史を逆転させてでも中国資本を招き入れる「生存への執念」
米国で新車平均価格が5万326ドルに達するなか、トランプ政権は中国資本との合弁で低価格車供給を模索する。4月の米中首脳会談が、市場と産業構造の大転換を左右する。
1990年代中国と2026年米国

中国は、外資メーカーが国内で自動車を製造する合弁会社の出資比率を最大50%に制限し、新エネルギー車を除き合弁会社数も原則2社までと定めてきた。外資からの技術移転を義務化し、中国市場への参入と引き換えに生産ノウハウや技術の核心部分を接収できる仕組みを維持してきた。
しかし中国は2018年4月に外資規制の段階的撤廃を打ち出し、同年には電気自動車(EV)など新エネルギー車、2020年には商用車の規制を撤廃した。さらに2022年には乗用車の出資規制も外し、外資参入を制限する分野を定めた「ネガティブリスト」から乗用車も除外した。
一方、米国が検討する案では、米国メーカーが主導権を握ることが前提となる。米国側が出資比率の過半を保持し、中国側と利益や技術を共有する形式になるとみられる。両者の違いは、1990年代の中国が外資から技術を獲得して産業の底上げを図ったのに対し、米国案は中国資本のコスト競争力を利用し、自国製品の価格を抑える狙いにある点だ。
これは、国家が成長期に知識向上を求めていた時代から、物価高騰に直面する成熟国家が社会秩序を維持するため、他国の効率性に依存せざるを得ない段階へ移行したことを示している。