「8割が離職を意識」の衝撃――自動車整備士は“3K”ではなく“低賃金”に絶望している

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整備士の仕事は高度化する一方、待遇は据え置かれたままだ。調査では約8割が離職を意識。専門職の価値が賃金に反映されない歪みが、車社会の基盤を静かに揺らしている。

現場と世間のずれ

自動車整備士イメージ(画像:写真AC)
自動車整備士イメージ(画像:写真AC)

 自動車整備士という職業には、いまもどこか古い印象がつきまとう。きつい、汚い、危険。いわゆる「3K」という言葉が、半ば自動的に結びつけられる。工場の床に油が広がり、重たい部品を抱えて汗を流す光景を思い浮かべる人は少なくないだろう。

 しかし、最近の車両は電子制御が前提になった。エンジンもブレーキも、多くがコンピューターで管理され、挙動はセンサーと通信で細かく監視されている。整備士の手元にあるのはスパナだけではない。診断機をつなぎ、データを読み、異常の兆候を探し当てる。電子基板や解析用のソフトを扱う時間が増え、仕事の中身はかなり頭脳寄りになってきた。かつての肉体労働の延長で語るには、実態とかけ離れている。

 こうした変化は、当事者の意識にも表れている。チェングロウス(東京都中央区)が現役整備士1023人を対象に実施した調査(2026年2月4日発表)では、「3Kは当てはまらない」との回答が専業で約5割、兼業でも約4割に達した。少なくとも現場で働く人たちは、この仕事を過酷な力仕事とは見なしていない。複雑な機構を読み解き、不具合の原因を突き止める専門職としての手応えを口にする声が目立つ。

 もっとも、外からの評価はそこまで更新されていない。社会の側には古いイメージが残り、それが職業の価値を押し下げている。本人たちの実感と世間の見方の間に、薄いが確かなずれが生まれている。日々の仕事ぶりが十分に伝わっていないのだろう。

 ただ、話はそこで終わらない。整備士の

「約8割」

が「辞めたいと思ったことがある」と答えている。専業で81.3%、兼業でも75.6%だ。数字だけを見ると穏やかではない。現場の負担が極端に重いのかと考えたくなるが、事情はもう少し複雑である。

 理由として挙がるのは、仕事そのもののきつさよりも、

「報酬や立場への不満」

だった。高度な知識や資格を求められ、安全に直結する責任も背負う。それでも賃金は伸びにくく、社会的な評価も高いとはいえない。腕を磨いても見返りが薄いと感じれば、気持ちは徐々に削られていく。

 整備の現場では、車両が安全に走り続けるための細かな確認が積み重ねられている。目立たないが欠かせない作業だ。その重みが外部に伝わらないままでは、人が定着しないのも無理はない。専門性が高まっているにもかかわらず、扱いだけが昔のまま残っている。そのちぐはぐさが、離職の背景に横たわっているように見える。

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