「8割が離職を意識」の衝撃――自動車整備士は“3K”ではなく“低賃金”に絶望している
整備士の仕事は高度化する一方、待遇は据え置かれたままだ。調査では約8割が離職を意識。専門職の価値が賃金に反映されない歪みが、車社会の基盤を静かに揺らしている。
外国人材の受け入れ

人手不足への対策として、業界の視線は外国人材の受け入れに向きつつある。現場の負担を考えれば、外から人を迎え入れるという発想は自然な流れだろう。実際、調査でも約4割が受け入れに前向きな姿勢を示している。期待は小さくない。
ただ、求められている中身はもう少し具体的だ。人数を増やせば回る、という見立てではない。「技術レベルに応じた段階的な業務割り当て」が39.3%、「業務指示・マニュアルを分かりやすくすること」が36.3%、「専門用語を含めた日本語教育・サポート」が30.8%。いずれも、日々の仕事の進め方を整え、育てながら戦力にしていくための要望である。
振り返れば、これまでの現場は、個々の経験や勘に頼る部分が少なくなかった。言葉にしなくても伝わる前提で動き、細かな手順は暗黙の了解のなかに置かれてきた。長く働く人同士ならそれで回ったのだろうが、文化も言語も異なる人が入れば、その曖昧さはすぐ壁になる。何をどこまで任せてよいのか、どの言葉が通じていないのかが見えないままでは、双方に負担が残る。
加えて、日本の所得水準は国際的に見ると伸び悩んでいる。働き先としての魅力が強いとはいい切れない状況だ。報酬を抑えたまま「来てほしい」と呼びかけても、他国と比べられれば選ばれにくい。人材の流れは想像以上に現実的で、条件に敏感である。
だからこそ、人を足りない分だけ補うという発想から一歩進み、技術を身につけられる環境を整え、長く働いてもらう前提で職場を整えていく。そのための判断が、いま経営に突きつけられている。外国人材の受け入れは入口にすぎず、問われているのは日々の現場のあり方だろう。