トヨタEV「bZ4X」10月だけで1100台販売! なぜ日系メーカーは「EV移行」で遅れを取るのか?――欧州市場で迫る淘汰リスクを考える
EV拡大の勢い

欧州自動車工業会(ACEA)は2025年11月25日、10月の欧州新車販売台数を発表した。欧州連合(EU)、英国、欧州自由貿易連合(EFTA)を合わせた販売は109万2000台で、2024年同月比4.9%増となった。ドイツや英国など西欧の主要市場で販売が伸びたことが背景だ。
2025年1月から10月までの累計をパワートレイン別にみると、電気自動車(EV)の割合は16.4%に達し、前年同期比で38.6%増加した。一方、ガソリン車とディーゼル車の合計は36.6%で、前年同期から約10%減少した。特にディーゼル車の落ち込みが大きく、前年の24.5%から9.2%に縮小した。
ハイブリッド車(HV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の合計比率は43.7%で、EVを含めた電動車比率は6割を超えている。2030年ごろにはEV比率が50%前後になるのが現実的な水準と見られる。
EUの環境規制は2050年のカーボンニュートラル達成を前提に組み立てられ、2035年にはエンジン車の新車販売禁止を基本方針としている。しかしドイツのメルツ首相は2025年11月28日、中国勢の参入によるEV競争の激化や普及の遅れを理由に、ガソリン車販売禁止の緩和をEUの行政執行機関と欧州委員会に要請する書簡を送付した。欧州自動車メーカーからも同様の要望があり、HVやE-fuel、バイオ燃料への例外規定が拡大しつつある。
一方、日本ではEV販売が緩やかに増加している。2025年末には軽自動車と輸入車を除くEVの年間販売台数が初めて1万台を超える見通しだ。トヨタは「bZ4X」の一部改良モデルを2025年10月に発売し、初月の販売は1100台余りとなった。HV主導の国内市場でも、EVが現実的な選択肢として認知され始めている。