九州新幹線最大の謎? 普通列車しか停まらない「無人駅」が新幹線駅に変貌した根本理由

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2011年に全線開業した九州新幹線。その停車駅・筑後船小屋は、かつて無人駅だった在来線との「繋ぎ目」に建設され、鹿児島本線と接続。広大な公園やスポーツ拠点を抱え、最近は西九州新幹線のルート議論でも注目を集める。

「筑後船小屋駅」という妥協案

九州新幹線の筑後船小屋駅(画像:菅原康晴)
九州新幹線の筑後船小屋駅(画像:菅原康晴)

 2011(平成23)年3月、先行開業していた新八代~鹿児島中央間に続き、博多~新八代間が開業し、九州新幹線は全線で運行を開始した。このとき、筑後船小屋駅(福岡県筑後市)も開業した。旧鹿児島本線の船小屋駅を約500m移設し、鹿児島本線と九州新幹線を接続する駅として整備されたのである。旧船小屋駅は普通列車だけが停車する無人駅で、全国的にほとんど知られていなかった。

 筑後船小屋駅がある筑後市の中心駅は、1駅北の鹿児島本線・羽犬塚(はいぬづか)駅である。羽犬塚駅の上空には九州新幹線の高架が走っている。普通に考えれば、まちの中心駅に新幹線駅を設置するのが自然である。なぜ船小屋に新幹線駅が設置されたのか――多くの人にとって、これは九州新幹線最大の謎と映った。

 地図上で理由を探るとすれば、羽犬塚駅と1駅南の瀬高駅はいずれも開業前は特急停車駅だった。新幹線駅を巡る調整の結果、その中間に位置する船小屋駅が妥協案として選ばれた、という見方も可能である。しかし、

・地元事情
・全線開業までの複雑な経緯

を知る人にとって、駅設置の理由は決して謎ではない。

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