東京・高円寺“破壊計画”にSNS騒然! 「再開発反対」「利益得るのは誰だ」――16m道路で街の個性は消えるのか?

キーワード :
, ,
東京都と杉並区の再開発計画で、高円寺北口の純情商店街・庚申通りが幅員16mの道路で丸ごと消滅の危機。Xでは数千筆の署名が集まり、文化・土地価格・地域経済への影響が議論を呼んでいる。

前提条件の提示

高円寺。2025年11月17日撮影(画像:Merkmal編集部)
高円寺。2025年11月17日撮影(画像:Merkmal編集部)

 2025年11月17日、X(旧ツイッター)で「高円寺純情商店街破壊計画に住民反発、数千筆の緊急署名集まる」がトレンド入りした。オンライン署名サイト「Change.org」には「高円寺再開発の危機回避のための署名!」というページが公開され、話題となっている。問題となっているのは、東京都が策定中の都市計画道路「第五次事業化計画(仮)」と、杉並区がそのなかで「補助第227号線」を改めて優先整備路線として推進する姿勢を示したことだという。

 補助第227号線は、新高円寺から練馬まで南北につなぐ約4.5kmの都市計画道路で、環七の西側に新たな生活軸を形成することを意図した計画だ。

・木密地域(木造密集地域)の防災改善
・南北交通の弱さ解消

という政策的な位置づけは明確である。しかし、高円寺駅北口区間では、この道路が純情商店街・庚申通り商店街をほぼ全て削り、幅員16m級の道路を通すことになる。2010年代から続く議論のなかで、住民・商店街の反発は強く、杉並区による住民対話不足を理由に“凍結”されてきた経緯がある。

 ところが今回、区が東京都に「再び優先整備を求める」方針を視野に入れたとの情報がネット上で広まり、街の文化・景観・商業構造に強い危機感を持つ人々が一気に反応、X上には以下の声が寄せられてた。

・高円寺は、現状のままでよい。
・高円寺の象徴ともいえる商店街を失うことは到底容認できない。
・高円寺全体の土地価格が上昇し、現在の小規模店舗が営業を続けられなくなる可能性が非常に高い。
・商店街や住民は反対の声を上げている。
・利益を得るのは一体誰なのか疑問である。
・これまでさまざまな店舗や文化が失われ、街は変貌してきた。消えたものは、高円寺独自の情緒や個性を形作っていた場所であり、人々の息づかいが感じられる店や街並みであった。一方、新たに出現したのは四角く均整の取れた、どこにでもある街並みである。
・文化の似通った街である下北沢は、すでに再開発により本来の特色を失いつつある。板橋の大山商店街も同様の課題に直面していた。日本中の街並みが均質化しつつあることに懸念を覚える。

 一方で、以下のような声もある。

・再開発反対派は、現在の自分が安く快適に過ごせることしか考えていないのではないか。建物の老朽化や防災面を考慮すると、30年後も同じ状況を維持することは困難である。街の文化を守ることは理解できるが、防災やバリアフリーの観点で説得力のある反対意見はほとんど見られない。

 高円寺は、インバウンドからもよく知られた文化都市であり、独立系店舗と若者文化が密集する街として希少な価値を持つ。こうした背景を前提に、本稿では筆者(大居候、フリーライター)の立場を提示したのち、反対意見の整理と、両者の対立から見える論点の再定義を試みる。

全てのコメントを見る